クラタペッパーのあゆみ

1992年、ボランティアでカンボジアを訪れた倉田浩伸が、世界平和を願い、かつて「世界一美味しい胡椒」といわれていた胡椒の栽培を復活させました。

カンボジアの産業は長く続いた内戦の影響で壊滅的な状態でした。内戦後に倉田は農業国カンボジアとして、農産物を扱おうと、ドリアンやココナッツの輸出を試みましたがことごとく失敗。ある時、大叔父から古いカンボジアの農業統計資料を譲り受けます。

その中に「胡椒」の記述があり、「これだ!」と一念発起。

しかし、1970年から1993年まで内戦により畑は壊滅状態。畑の再開を目指す産地の人々の声を頼りに、コッコン州で3本の苗木を大事に守り育てていた男性と出会います。彼から昔はこの一帯が胡椒畑で、世界一の胡椒を作っていたと聞きました。その辺りはカンボジアの中でも、自然の力で胡椒が育つことができる胡椒にとっては最適な地域でした。

倉田浩伸はその地で1997年に地元の人たちと一緒に胡椒の栽培を始めました。

その後、農家で大事に瓶に保存されていた、艶のある赤く熟した胡椒と出会いました。
「これは特別な胡椒なんだよ」と言われ、便の蓋をあげると甘く芳醇な香りが広がり、初めて出会う胡椒の香りでした。

それは完熟した胡椒の実を天日干ししたものだとのこと。

真っ赤に完熟した胡椒は糖分が多く含まれており、天日干しをすることで表皮に糖分がにじみ出て、艶となって光ります。そして甘い芳醇な香りとなることがわかりました。この胡椒を作りたい、売っていきたいと、倉田は胡椒作りにのめり込んでいきました。それが、クラタペッパーの完熟胡椒®︎となります。

現在、コッコン州に広がる自社農園、契約農園では、伝統的な自然農法で、胡椒を現地の人々と共に作っています。胡椒は果実であり、育てる地域で胡椒の木自体も大きく違ってきます。その年の気候によっても風味も変化します。

テロワールやヴィンテージで果実の味や香りが変わること、その中で胡椒を選ぶ楽しさを広げたいと、考えています。

そして日本では、妻の倉田由紀が、日本で倉田浩伸のつくる胡椒を広めたいと、2012年にカンボジアから日本に帰国し、クラタペッパーの日本支店を設立。その後、2017年に株式会社クラタペッパーと改め、日本のお客様に向けてクラタペッパーの胡椒を販売しています。

胡椒パッケージのイラストは倉田由紀が描いたものです。

倉田浩伸が創業当時に掲げた“世界平和”。

100年後に続く産業でありつづけることを目標に、価値観の多様性を尊重し、平和な社会構築のために、カンボジアの農業、有機栽培のあり方を次世代に繋げることを現在の目標として活動しています。